中村英児

2019年10月4日

俳優が撮影現場で知っておくべき事。

最終更新: 2021年1月29日

アクトガレージ主催トレーナー・監督の中村です。

撮影現場において、自分の精神状態を保つだけで精一杯な状況に追い込まれた経験がある俳優は多いでしょう。

緊張する原因の一つに「周りの目を意識しすぎてしまう」という理由があります。

つまり、「人の評価」を無意識に求めてしまっている状態です。これは演技において非常に危険です。自分の演技は大丈夫だろうか?監督の評価はどうだろうか?皆は自分の事をどう見てるだろうか?……と考えて、仕舞いには被害妄想的に自分で自分の評価をどんどん下げていってしまいます。

現場では、あまり評価を直接言われる事はありません。

誰も自分をわざわざ褒めたたえてくれる事はないでしょう。スタッフだって必死に自分の仕事をしています。つまり思考が皆違うのです。皆それぞれのポジションで、それぞれの仕事のことを考えています。そんな中で、俳優はしっかりと自分の精神を保ち、演じることを全うしなければなりません。

これは僕も含め俳優なら皆経験してきている事ですが、面白い例があります。テストでカメラ前にいると、スタッフが皆、自分の顔をまじまじと見てきます。そして目が合うとそのスタッフは目を逸らします。最初は何だろう?と思います。自分の顔に何か付いてるだろうか?と不安になります。何故みんな自分の事をじろじろと見るんだろう?何故だー!!それは……

俳優に当たっている光を見ているのです。

つまり、カメラマンや照明さんは、光の当たり具合に問題がないか確認したりして、照明を調整したりしているのです。メイクさんはメイクに問題がないか俳優の顔をじっくり見たりします。

そう、みんな「仕事」をしているのです。

僕はそれに気付いた時に、めちゃくちゃ恥ずかしくなりました。なんて自分は勘違い野郎だったのだろうかと。そういう経験をしていく中で、演者としてカメラ前に立つ事の意味が段々と分かってきます。

映像俳優が撮影現場で求められている事

映像俳優はそういった環境の中で「自然さ」を求められ、いつも平常心でいなければなりません。時には周りの目が気になり「自分の心を覗かれている」気持ちになったりもします。誰も覗いたり何かしていません!!スタッフはスタッフで自分の仕事を全うする為に一生懸命なのです。

この記事を読んでくれた人の中に、初めて撮影現場に行く人や、初めて役をもらって撮影現場に臨む方や、まだこの事に気づいていない方がいたら、現場でこの記事の事を思い出してください。撮影現場で俳優は「演者」といういちポジションに過ぎません。

誰も自分の事は気にしていません。(そう思う方が楽です。もちろん、俳優のメンタルを気にして気を使ってくれる素晴らしいスタッフもいます)スタッフも皆、自分の仕事を全うしています。演者としての仕事を全うする事。それが俳優に求められている仕事なのです。俳優は決して自己陶酔や、勘違いをしてはならないのです。

それを知っていれば、俳優として何を求められているか?俳優として何をすればいいか?俳優としてどのように現場で過ごせばいいか?が見えてきます。

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※本記事に書かれた演技に関する学びは、執筆者である中村英児が自身の俳優・監督・トレーナーとしての経験に基づき、独自のメソッドとして伝えています。記事の無断転載はお控えください。

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執筆 中村英児

(アクトガレージ主催トレーナー)

俳優 映画監督 映像クリエイター

株式会社プロダクションガレージ

代表取締役(映像制作会社)

日本映画監督協会会員。1999年より俳優として活動。俳優業の傍ら、Vシネマでの脚本執筆をきっかけに、監督として長編映画8本を制作し都内単館映画館で次々とロードショー公開。企業のプロモーションビデオも多く手掛け、2017年、映像制作会社を設立し代表に就任。主な出演作に「アウトレイジビヨンド」(北野武監督)、「任侠ヘルパー」(準レギュラー/フジテレビ)、主な監督作品に「SAMURAI SONG」、「ニャチャンへ続く道」(ドキュメンタリー)、「つながり」(はづき虹映監修)等がある。アクトガレージでは主催トレーナーを務める。監督・俳優としての両面から指導出来る事が強み。

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