中村英児

2020年1月30日

俳優としての過ごし方

最終更新: 2021年1月29日

アクトガレージ主催トレーナー・監督の中村です。

アクトガレージには多くの俳優志望者が訪れます。その中でも一番多い質問は、

「一人の時、何をすれば良いですか?」

です。今まで何度この質問を受けた事でしょう笑

一番良いのは間違いなく自分が演じる「台本」を持ち、その役柄と日々向き合う事です。ただ、これは出演する作品が決まっていないと無理なので、これから俳優になりたい方には当てはまりません。ただ、これから俳優になりたいと思っている方が、どのような感覚で日々を過ごしていけば良いのかを少しでも知って頂けたらという想いでこの記事を書いていきます。

よく言うのは、映画を観たり、小説を読む事だったり、旅に出て自分を見つめる事だったりします。つまり俳優になる為の演技の引き出しを増やしていく作業をしていく事です。

ただ、これを聞いた多くの方が勘違いをしてしまいます。

闇雲に映画を観ても、小説を読んでも、旅をしてもダメなんです。

上記の作業に「俳優である前提」を付けなければ意味がないのです。

これから俳優を目指す方も俳優の「役作り」がどんなものなのかを断片的にでも知らなければなりません。それを知らなければ、そもそも「俳優である前提」は作れません。

簡単な例を上げます。

俳優は役を与えられた瞬間から、その役を前提に物事を捉え、その感情を理解していかなければなりません。

山田という役を与えられたとします。山田は、あるシーンで道を歩いていて肩が他人とぶつかった時に大声で怒鳴りました。でも他人に怒鳴った経験がない人もいるでしょう。そんな時、どうやって信憑性を持って山田を演じれば良いのでしょう?

俳優は「自分だったらこうする」を「山田役だったらこうする」に転換していかなければならないのです。そして俳優は自分自身が納得し、府に落として演じなければなりません。

こういった作業を「演技の引き出しを増やす」と言います。

表に出した事のない自分を表現したり、自分の眠ってる感情に気付いたり、今まで抱く事の無かった心情を増やし、役に反映させていくのです。

これは役を演じる前提の話なので、これから俳優を目指そうとする人には理解が難しい事かもしれません。だけど、このような俳優の「役の作り方」を知らなければ、俳優になる為に日々どのような感覚で過ごせばいいか分からないでしょう。

俳優としてのアンテナを張って行動し、様々な物事を受け止める。

これがとても重要です。

映画やドラマは一般の視聴者として観るのと、俳優視点で観るのとでは全く異なります。

俳優は常に自分自身が何かしらの役を演じる上での材料にしたり、今後の参考にしたり、常に自分自身と向き合い、他人の感情を考えながら過ごしています。

そういった感覚で過ごす事で、いざ役を任された時に、引き出しに貯めていた感情を使います。もし、自分の引き出しに無い感情を作らなければならない時には、再度それを探す作業をします。

映画やドラマを観る時に、その役がどんな理由でその行動に至ったかを自分と照らし合わせながら、感情を確認し、自分が演じる為の糧にしていきます。これが俳優としての鑑賞方法です。

小説を読むのも、旅をするのも、人間観察も同じです。

「自分が演じる」前提で物事を見て、日々を過ごすのです。

複雑で、難しい事のように感じるかもしれませんが、演技に触れていると自然にできるようになります。何かに関しての専門の仕事をしていれば常にその事を考えて過ごす事と同じです。

感性が鋭い人は俳優に向いてると言われます。その感性は、日々の訓練の上で成り立ちます。

一種の職業病ですね笑

これから俳優を目指す方は、ここに書いた事、つまり「俳優である前提」という感覚を少しでも理解して日々を過ごしてみて下さい。日常には役を演じる上での沢山のヒントが隠されています。そこに俳優としてのアンテナを張り巡らせていれば、きっとどんな役でもチャレンジできる過ごし方が身に付いていく事でしょう。

グッドアクト!!

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※本記事に書かれた演技に関する学びは、執筆者である中村英児が自身の俳優・監督・トレーナーとしての経験に基づき、独自のメソッドとして伝えています。記事の無断転載はお控えください。

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 執筆 中村英児

 (アクトガレージ主催トレーナー)

 俳優 映画監督 映像クリエイター

 株式会社プロダクションガレージ

 代表取締役(映像制作会社)

日本映画監督協会会員。1999年より俳優として活動。俳優業の傍ら、Vシネマでの脚本執筆をきっかけに、監督として長編映画8本を制作し都内単館映画館で次々とロードショー公開。企業のプロモーションビデオも多く手掛け、2017年、映像制作会社を設立し代表に就任。主な出演作に「アウトレイジビヨンド」(北野武監督)、「任侠ヘルパー」(準レギュラー/フジテレビ)、主な監督作品に「SAMURAI SONG」、「ニャチャンへ続く道」(ドキュメンタリー)、「つながり」(はづき虹映監修)等がある。アクトガレージでは主催トレーナーを務める。監督・俳優としての両面から指導出来る事が強み。

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