相手の台詞を「聴く」力
- 中村英児
- 2 時間前
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グッドアクト。アクトガレージ主宰トレーナーの中村です。
俳優は未来が決まっていない人を演じなければならない。
役を演じる上で大切なのは、未来に何が起こるか分からない人を演じることです。
これは簡単なことではありません。
俳優は台本をもらった瞬間に未来を知ってしまう。
台本をもらったら、役が未来を知らずに生きていることを深く再認識しなければならない。
役が生きているとはどういうことか?
役は目の前の出来事をその瞬間に初めて知り、受け止め、感情が芽生え、衝動的な行動に出る。
このプロセスを俳優が認識し、再現できなければならないのである。
台詞が決まっていると、俳優はどうしても相手の台詞を聴かなくなってしまう。未来を知り、相手役が言う事を知ってしまったからである。
未来を知っていると、無意識にそうなってしまう。その先にある自分の台詞をタイミングよく言うことに意識を持っていかれてしまうのである。
これがいわゆる段取り芝居というやつである。
それが演技だと思い込み満足し、自分は演技を全うできたと勘違いしてしまう。これは怖いことだ。
そんな演技を見た視聴者はリアルを感じることができず、途端に集中力を失い、結果的に離脱することになる。
俳優には相手役の台詞を聴く力が絶対に必要不可欠となります。当たり前のことだと思うかもしれませんが、これを演技上で行うことはとても難しいことです。
先程から「聴く」という漢字を使用していますが、「聴く」と「聞く」の違いを確認しておきます。
▶「聞く」は音や声が自然に耳に入ってくる「受動的」な動作(hear)。人の言葉を「聞く」という作業は、日常生活の中で無意識に行っています。
▶「聴く」は注意深く熱心に耳を傾ける「能動的」な動作(listen)を指します。これは意識的に人の言葉に耳を傾け、その意味を考える行動です。
演技上では「聞く」よりも「聴く」と認識した方が、より相手役の言葉に耳を傾けることができるでしょう。
俳優は相手役の演技を決めることができません。これが救いです。なぜなら未来を知らない状態を作ることができるから。
演者は、相手役が決まっている台詞をどのようなニュアンスで言うのかは対面して台詞を交わすまで分かりません。
相手役の台詞のニュアンスを勝手に決めつけて、自分の番が来たら、あらかじめ用意しておいた自分の言い方をそのまま返す。これ、会話が成立してると思いますか?
今一度、自分の演技を振り返ってみて下さい。
演者は相手役のニュアンスを瞬間的に受け取り、能動的なリアクションを行い、その次に発する自分の台詞に含むニュアンスをその場で瞬間的に発していかなければなりません。
このリアルな状態を維持しながら演技を構築していく。
特に演技のオーディションではこの感覚、感性を持ち合わせているかを見られていることも多いです。
聴くことは、相手役の気持ちを汲み取り、その裏にある含みや、本当の意味を理解することです。
演技に求められるのは会話を超えた対話です。
演技は自分が言うことだけに神経を使いがちです。台本の台詞を覚えて言えるようになっただけでは演技は成立しません。相手の台詞を聴ける余力を持って臨むこと求められます。
「もっと自然に演じて」
演出家がよく言う言葉。言われた方も多いでしょう。
自然とは何か?熟考する必要性がありますよね。
参考にしてください。
グッドアクト!
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中村英児 (アクトガレージ主宰トレーナー)
俳優 映画監督 映像クリエイター
株式会社プロダクションガレージ代表取締役(映像制作会社)
日本映画監督協会会員。1999年より俳優として活動。俳優業の傍ら、Vシネマでの脚本執筆をきっかけに、監督として長編映画8本を制作し都内単館映画館で次々とロードショー公開。企業のプロモーションビデオも多く手掛け、2017年、映像制作会社を設立し代表に就任。主な出演作に「アウトレイジビヨンド」(北野武監督)、「任侠ヘルパー」(準レギュラー/フジテレビ)、主な監督作品に「SAMURAI SONG」、「ニャチャンへ続く道」(ドキュメンタリー)、「つながり」(はづき虹映監修)等がある。アクトガレージでは主催トレーナーを務める。監督・俳優としての両面から指導出来る事が強み。
※本記事に書かれた演技に関する学びは、執筆者である中村英児が自身の経験に基づき、独自のメソッドとしてお伝えしています。記事の無断転載はお控えください。

