演技どう?の意味
更新日:2月14日
グッドアクト!アクトガレージ主宰の中村です。
今回は監督・演出家・演技講師が演者(俳優・女優)に質問する「どう?」についてです。演技をしている多くの方が経験しているはず。
自分の演技が終わりカットがかかった後に「どう?」とか「どうだった?」とか「どんな感じ?」とか質問されること。
これ、実はめちゃくちゃ重要な意味があるんです。
演出側が演者自身の演技の感想を「先に聞く」ところがポイントです。
これは演出側が演者の率直な意見を聞きたい時に使います。
大概その場合は、演出側にもハッキリとした演出プランがなく、演者とセッションして決めようと考えていたりします。
先に聞く理由は、演出側が先に自分の意見や感想を言うと、それが答えだと思い、演者が自分の演技の修正を求められていると感じます。そして、演者自身の意見や考えを封じ込めてしまいかねないからです。
俳優・女優は演出側の意見や感想を「強制」と捉える可能性が高いのです。
演出側が先に意見を述べた瞬間に、後から述べる演者の意見や感想は「言い訳・後付け」に聞こえてしまいます。
例えば演出側が「そこで立ち上がった方が良いかなと思うんだけど」と言うと演者は「あ、そうですよね。そう思いました」と素直に返すとします。すると演出側は「いや、だったら立ち上がれよ……」ってイラっとしてしまったり。
逆に演出側が「どう?」って聞いて、演者が「立ち上がった方がいいなって思いました」と言うと、「だよね。じゃもう一回やってみよう」とスムーズに事が運ぶ。小さいことのようだけど、このようなことが無限にあるのが撮影現場です。小さなことがとても大切で、放置すると後に大きなズレを生むのです。
演出側は、演者が自発的に演出と重なることを望んでいます。演出家のイメージを強要することなく、演者が勝手にそうなることが理想です。
そうであれば「あ・うん」が生まれ、信頼感に繋がり、現場がスムーズに進行します。
演者の感性を確認するのが「どう?」なのです。
また演出側が先に聞く事によって齟齬や乖離が生まれてしまっても、演者がそうなった理由がはっきりするので演出がしやすい状況を生み出すことができます。
だから演出側に「どう?」と質問されたら率直に素直に堂々と思い切って、真実を正直に話す事が必要だし、求められています。
監督に「どう?」と聞かれて、俳優は「逆にどうですか?」とは絶対に返さないでください。せっかく演出側が歩み寄ってくれたのに台無しになりかねません。「どう?」と聞かれたら「演者から先に答える」ことが重要です。
演出側からの「どう?」は立場を超えた心と心の対話ができる絶好の機会です。
また、これは特に演出家兼俳優に多いやり方です。演出家兼俳優は過去に自分自身が同じことを再三経験しているので、演者の気持ちが痛い程分かります。「どう?」に対しての演者の返答の仕方、言葉、仕草、表情によってその演者が今どういう精神状態なのかを瞬時に察知します。遠慮して答えている場合は、萎縮していることが伝わります。だからそのような場合、演出家はどうしたらこの演者が伸び伸びと演技に取り組めるだろうと考えます。
もちろん、全ての演出家がそうとは限りません。ただ、演者がそう思えば、メンタルを保つことができ、より良い演技が生まれる可能性が高まります。
そしてここから信頼関係を構築し、演出家、演者、同志として同じ作品を魂込めて創る絆が生まれます。
今後の活動の参考にしてください。
グッドアクト。
▶体験レッスンはHPから
▶超絶役立つ演技ブログ トップページ
▶アクトガレージの受講生が演じる220作品以上の短編ドラマ集。
中村英児 (アクトガレージ主宰トレーナー)
俳優 映画監督 映像クリエイター
株式会社プロダクションガレージ代表取締役(映像制作会社)
日本映画監督協会会員。1999年より俳優として活動。俳優業の傍ら、Vシネマでの脚本執筆をきっかけに、監督として長編映画8本を制作し都内単館映画館で次々とロードショー公開。企業のプロモーションビデオも多く手掛け、2017年、映像制作会社を設立し代表に就任。主な出演作に「アウトレイジビヨンド」(北野武監督)、「任侠ヘルパー」(準レギュラー/フジテレビ)、主な監督作品に「SAMURAI SONG」、「ニャチャンへ続く道」(ドキュメンタリー)、「つながり」(はづき虹映監修)等がある。アクトガレージでは主催トレーナーを務める。監督・俳優としての両面から指導出来る事が強み。
※本記事に書かれた演技に関する学びは、執筆者である中村英児が自身の経験に基づき、独自のメソッドとしてお伝えしています。記事の無断転載はお控えください。





