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俳優の「未来を知らない」演技

アクトガレージ主催トレーナー・監督の中村です。


演技の難しさの一つに、俳優は「未来を知っている」という要素があります。


つまり、俳優は台本によって演じる役の「未来」を知ってしまうのです。しかしやっかいな事に、その演じる役は自分の未来を知りません。これが演技が難しい理由の一つです。


未来を知っている人が、未来を知らない人を演じなければならない難しさ。


演技をやった事がある人にはピンと来るかもしれませんが、やった事が無い人には何のこっちゃ?ですよね。


台詞というのは、自分が言った台詞の後に、相手役が何を言うか分からない前提で発しなければなりません。


これは特に映像演技において、リアルな演技を目指す場合にとても重要です。


ここで言う「リアル」は、日常に近づけていくという意味です。日常の会話は、相手に言葉を投げかけた時に、相手がどのような言葉を返してくるか分からない状況にあります。だから、当たり前ですが、相手の言う事をちゃんと聞き、その言葉を認識してから、次に言う言葉を考えています。その繰り返しが日常です。


演技は相手が言う言葉が完全に分かってしまっています。だから、相手の台詞をあまり聞いていなかったりする状況が生まれてしまうのです。なぜそうなるのかは、たいていの場合、次の自分の台詞の事を考えてしまっているからです。つまり余裕がないのです。そのような演技に観客がドキドキする事はありません。


例えば、A役(男)がB役(女)に告白するシーンがあるとします。A役は絶対に成功すると確信しているが、意外にもフラれてしまう設定だとします。A役は自信満々で告白しますが、実は振られる事を知っています。このような状況を演技で見せる時に、そこにリアリティーがなければ観客を引き付ける事は到底できないでしょう。


恋愛をテーマに例えましたが、サスペンスドラマやホラードラマだともっと分かりやすいかもしれません。次に何が現れるのか?次に何が起こるのか?ハラハラドキドキの展開であっても、俳優が先読みした演技をしてしまっては、観客が一体となって緊張感を味わう事はないでしょう。


では、どのようにリアリティーを生み出すのか?


リアルを生み出す方法の一つに「アクション」と「リアクション」があります。


台詞を言う行為が「アクション」。それに対する反応が「リアクション」です。


台詞が決まっていると「リアクション」を忘れてしまう事が多いのです。


つまり、台詞を言う(アクション)、台詞を返す(アクション)、また台詞を言う(アクション)、また台詞を返す(アクション)というように、「アクション」だけになってしまうという事が往々にしてあるのです。そのような演技にリアルは存在しません。


リアリティーのある演技というのは、台詞を言う(アクション)、それに対しての反応(リアクション)があり、台詞を返す(アクション)。その反応があり(リアクション)、台詞を言う(アクション)。というアクションとアクションの間にリアクションがなければなりません。これが、リアルを生み出す重要なポイントです。


未来を知ってしまうと、相手の台詞に対しての反応を忘れてしまいがちなのです。なんせ、何て言うか分かっていますからね。


簡単な事のようですが、演技を始めたばかりの人は特にそれに気付けません。


「アクション」と「リアクション」があれば、「未来を知らない人」を作り出せるはずです。


挑戦してみましょう。

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※本記事に書かれた演技に関する学びは、執筆者である中村英児が自身の俳優・監督・トレーナーとしての経験に基づき、独自のメソッドとして伝えています。記事の無断転載はお控えください。

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執筆 中村英児

(アクトガレージ主催トレーナー)

俳優 映画監督 映像クリエイター

株式会社プロダクションガレージ

代表取締役(映像制作会社)


日本映画監督協会会員。1999年より俳優として活動。俳優業の傍ら、Vシネマでの脚本執筆をきっかけに、監督として長編映画8本を制作し都内単館映画館で次々とロードショー公開。企業のプロモーションビデオも多く手掛け、2017年、映像制作会社を設立し代表に就任。主な出演作に「アウトレイジビヨンド」(北野武監督)、「任侠ヘルパー」(準レギュラー/フジテレビ)、主な監督作品に「SAMURAI SONG」、「ニャチャンへ続く道」(ドキュメンタリー)、「つながり」(はづき虹映監修)等がある。アクトガレージでは主催トレーナーを務める。監督・俳優としての両面から指導出来る事が強み。

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