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映像演技と舞台演技の違い

2023.5.6 追記・更新


アクトガレージ主催トレーナー・監督の中村です。


映像演技と舞台演技の「表現」における違いはズバリ「距離感」です。


もちろん違いは多くありますが、「距離感」は演技を使い分ける上で大きなポイントとなります。


舞台は劇場に足を運んで観に来てくれたお客さんに演技を届けます。だから、後ろにいる観客にも聞こえるような大きな声出し、動作を大きく大げさに、劇場全体に届けるように演技をしなければなりません。


それに比べて映像演技は、距離感が「相手役との距離」にあります。対面する相手役に伝わる距離感を意識して表現をします。ですので、大きな声や、大きな動作は必要がなく、より現実に近い表現をする必要があります。


この表現の違いは非常に大きな差になります。


舞台俳優が映像で演技をすると大げさになってしまい、映像俳優が舞台で演技をすると、観客に伝わらない小さな演技になってしまいます。


「距離感」を意識して、演技を上手く使い分ける必要があるのです。


映像俳優は観客を意識していないのか?


そうではありません。もちろん、結果的に映像を通して視聴者に伝えるものですので、最終的には観る人にどう伝えるのか?どう伝えたいのか?を考える必要性があり、俳優には客観性が重要となってきます。


僕自身、演技をレクチャーする際には口うるさく「客観性が重要」とは言いますが、常に意識する事を心がけるという意味で伝えており、いきなり誰もが出来る事ではありません。客観性を作り出すには、多くの経験が必要になりますのでとても時間がかかるのです。


どちらかというと、映像において観客にどう見せるのかを考えるのは監督やカメラマンの仕事になりますが、俳優にもその感覚が重要で、客観性を意識した映像演技は、監督やカメラマンの大きな手助けになります。


手助けをしている例として分かりやすいのが、電話をするシーンです。カメラ位置によって、スマホを右で持つのか、左で持つのかを意識しなければなりません。経験がある俳優は、何も言わなくても意識的かつ自然にそれを実践します。それを知らない素人が入るといちいち監督が指導しなければならず、大変な事になってしまうのです。


監督やカメラマンを手助けしているといっても、素人には分かりません。


プロの現場のそういった手助けは「あうんの呼吸」で行われますので、分かっている者同士、言葉はありません。映像演技はカメラ位置を意識する事も重要になります。映像にはカット割りがあります。常にカメラがどこにあるのかを意識しないと、観客に伝わらない演技になってしまいます。


現場にはそういった「暗黙の了解」が存在し、これは「経験でしか学べない技術」と言えるでしょう。


舞台においては観客にお尻を向けないなど、常に観客を意識する必要がありますよね。


映像演技はカメラ位置を意識する事。舞台演技はその場にいる観客を意識する事。これも似たような事ではありますが、大きな違いでもあります。


まだまだ違いは多くありますが、最初に書いたように、表現における最大の違い。「距離感を意識する事」が、映像表現と舞台表現を使い分けるのに大きな要素となります。


俳優として、映像と舞台を行き来する事も少なくありません。


「距離感」


覚えておいて下さいね。


以下に映像演技と舞台演技の違いを箇条書きにまとめてみました。


今後の活動の参考にして下さい。


映像演技の表現は、撮影現場での演出やカメラアングルの変化、映像編集の効果など、多岐にわたる要素が組み合わさって作り出されます。以下に、映像演技の表現に関連する要素をいくつか挙げてみます。


・視線の使い方:演者がどこを見つめるか、どのタイミングで視線を移動させるかなど、視線の使い方によって、演じる役柄の内面や心理状態を表現する。特にクローズアップやシリアスなシーンでは映像演技の「目」の扱いは繊細さが求められる。


・小道具を使う:演者が手にする物や周囲の物を活用して感情を表現する。例えば、役柄によってどんな財布を持ち、その扱い方などでキャラクターを表現する。


・照明や音楽の効果:照明や音楽などの演出効果を活用して、演じるシーンの雰囲気や感情を表現する。


・カメラアングルの変化:カメラアングルを変えることによって、演者が表現するシーンの印象を変えたり、演技の効果を高めたりする。


・モノローグやナレーション:演じる役柄が自分自身の心境や考えを語る場面では、モノローグやナレーションを活用して、演技・演出の効果を高めることができる。


・カットのタイミングや編集効果:演じるシーンをカットするタイミングや、映像編集の効果を利用することで、表現の効果を高めることができる。


・時間の経過の表現:時間の経過を表現するシーンでは、演技や照明、映像効果などを利用して、時間の流れを表現することができる。


舞台演技の表現は、観客に直接向けられた演技であり、映像演技とは異なる特徴があります。以下に、舞台演技の表現に関連する要素をいくつか挙げてみます。


・声の使い方:舞台演技は、観客席までの距離があるため、声の大きさや聞き取りやすさが重要。また、演者の声のトーンや話し方によって、役柄や人物像を表現する。


・身体の使い方:舞台演技では、身体を使って役柄や感情を表現することが重要。ポーズや動き、表情などを工夫することで、演じる役柄を表現する。


・視線の使い方:舞台演技では、観客に向けた視線の使い方が重要。役柄の相手や場所を示すために、視線を大きな身振りで使い分けることが必要。


・台詞の演技:舞台演技では、役柄がセリフを言う場面が多いため、台詞の演技が特に重要。演者の声の大きさやトーン、表情などを工夫することで、セリフの意味を表現する。


・相手との関係性:舞台演技では、相手との目線や距離、身体の向きなどを工夫することで、役柄同士の関係性を表現する。


・舞台装置や小道具の活用:舞台装置や小道具を活用して、物語の進行や演じる役柄の特徴を表現する。また、実際に手に持っていない場合でもパントマイムで表現するような技術も要求される。


・舞台美術や照明の演出効果:舞台美術や照明の演出効果を活用して、舞台上の雰囲気や演じるシーンの感情を表現できる。


・演出家との協力:舞台演技では、演出家との協力が重要です。演出家からの指示やアイデアを取り入れ、役柄やシーンをより深く表現することができます。映像作品よりも演出家自身のこだわりがある場合が多い。


・舞台の大きさと演技のスケール:舞台演技は、観客席までの距離があるため、身体や声を大きく使うことで、より遠くの観客にも伝わるような演技が求められる。


・演技の連続性:舞台演技は、一度始まったら最後まで演じ続けることが求められます。カットなどで中断することができないため、一度のパフォーマンスで全体の流れをつくり上げる必要があります。


以上のように、舞台演技は映像演技とは異なる表現要素があります。観客との距離や即座の反応などが演技に大きな影響を与えるため、映像演技とは異なるスキルが必要となります。


映像俳優と舞台俳優の違いはコチラの記事で紹介しています。

 

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※本記事に書かれた演技に関する学びは、執筆者である中村英児が自身の俳優・監督・トレーナーとしての経験に基づき、独自のメソッドとしてお伝えしています。記事の無断転載はお控えください。

 

中村英児 (アクトガレージ主催トレーナー)

俳優 映画監督 映像クリエイター

株式会社プロダクションガレージ代表取締役(映像制作会社)


日本映画監督協会会員。1999年より俳優として活動。俳優業の傍ら、Vシネマでの脚本執筆をきっかけに、監督として長編映画8本を制作し都内単館映画館で次々とロードショー公開。企業のプロモーションビデオも多く手掛け、2017年、映像制作会社を設立し代表に就任。主な出演作に「アウトレイジビヨンド」(北野武監督)、「任侠ヘルパー」(準レギュラー/フジテレビ)、主な監督作品に「SAMURAI SONG」、「ニャチャンへ続く道」(ドキュメンタリー)、「つながり」(はづき虹映監修)等がある。アクトガレージでは主催トレーナーを務める。監督・俳優としての両面から指導出来る事が強み。

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